トマトに「リコピン」が豊富に含まれていることは、みなさんご存知かと思いますが、「ギャバ」もとても多く含まれていることをご存知でしょうか。
ギャバとは、脳や体にリラックス作用をもたらす、ストレスの多い現代人にはありがたい成分です。
そんなギャバも、さまざまな病気の予防や体の不調の改善に役立つ「酢トマト(酢にトマトを浸けるだけ!)」で、手軽にたくさん摂れるのです。
早速、ギャバの作用となぜ酢との組み合わせがいいのか、見ていきましょう。
もちろん、自律神経の乱れや不眠、うつの症状がある方は、専門医の治療を受けることが大切です。その上で酢トマトを生活に取り入れてみてください。
解説:実践女子大学名誉教授 田島眞 先生
不眠やウツを防いでリラックスするのに役立つ

トマトには、アミノ酸の一種であるギャバ(GABA。正式名はγ-アミノ酪酸)も豊富に含まれています。
ギャバはもともとは私たち人間の体内にもある抑制系の神経伝達物質で、脳の血管や神経をリラックスさせて血流を促し、 脳細胞へ送る酸素量を増やしたり、代謝(体内で行われる化学反応)を活性化したりする働きが期待できるそうです。
また、脳内にα波を出して心拍数を抑え、リラックスさせて自律神経の乱れを整えたり、ストレスによる免疫力の低下や脳細胞の損傷を抑えたりといった働きも期待できるといいます。
逆にギャバが不足するとイライラしてストレスを感じやすくなったり、不眠やウツ、自律神経失調症などの症状が現れたりするといわれます。
期待できる働きから考えると、例えばダイエット中のイライラが抑えられずに反動で食べすぎてしまったり、自律神経が乱れたりするのを防ぐのに、酢トマトが役立つのではないでしょうか。
ギャバは40代から半減し補給が必要
京都府立大学大学院医学研究科では、ギャバのリラックス作用について試験を行っています。試験は、パソコン入力でストレスがかかった対象者を2つのグループに分け、一方のグループにだけトマトのギャバをとってもらったそうです。
その後、脳波検査と心理学的検査を行った結果、トマトのギャバを摂取したグループ は、摂取しなかったグループと比べて集中力が高まったり、リラックス作用が得られたりすると同時に、肉体的な疲労感も軽減しているとわかりました。
また、唾液中に含まれるストレス物質(クロモグラニンA)の量を測定したところ、 トマトのギャバを摂取したグループは、摂取しなかったグループと比べてストレス物質が減っていたことも確認されたのです。
ギャバは、もともと体内にありますが、40代から急激に減りはじめ、その量は10代の半分以下にまで減少するといわれています。そこで、ぜひ酢トマトで補ってみてください。
さらにトマトには、うまみ成分でギャバの原料にもなるグルタミン酸も多く含まれています。
グルタミン酸は脳へ運ばれたあとギャバに変わる性質があるので、グルタミン酸の多い酢トマトを食べればギャバを補うことができると考えられます。
なお、黒酢を使って酢トマトを作ると、黒酢に含まれる乳酸菌の働きで、ギャバの含有量がさらに増えることがわかっています。その量は、ギャバが多いとされる発芽玄米の約50倍にもなります。酢トマトの酢に黒酢も活用してみてください。
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この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。
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